
戦後間もなく発行された産業図案切手は、戦後復興を支えた産業と労働者が描かれていることから「産業図案切手」と呼ばれています。
印刷技術の向上によりすかしのない産業図案切手も発行され、すかしありとすかしなしの切手があり、流通量が少なく、希少価値の高い切手も存在します。
この記事では、産業図案切手の情報だけでなく、その種類や、産業図案切手すかしありの相場価格を詳しく解説していきます。
目次
産業図案切手とは
産業図案切手とは、1948年10月から1949年11月にかけて日本で発行された普通切手です。
切手は12種類あり、それぞれ戦後の日本を支えた工業や産業に携わる人々が描かれています。
一色刷りですが、戦後の日本復興を感じさせるパワフルなデザインが多いことも特徴の1つです。
すかしなしについて
すかしなし切手とは、裏面をみてもすかしのない切手で、印刷技術が向上し切手を偽造される心配がなくなったため生まれました。
切手の裏面に3本の波のような模様がなければすかしなし切手となります。
すかしなしの産業図案切手のすかしなしは1950年から発行され、「昭和すかしなし切手」とも呼ばれ流通量が少なくプレミア価値が付いたため、レア切手として切手コレクターに人気があります。
産業図案切手の買取相場の目安
現在、産業図案切手は100円(電気炉)と500円(機関車製造)のすかしなし切手にプレミア価値が付いており、未使用で綺麗な保管状態であれば高値で買取してもらえます。
切手コレクター泣かせと言われるほど、市場に出回らず希少価値が高い切手です。
以下の表は産業図案切手すかしありの買取価格の目安です。
ヤフオクの落札相場と買取店でマネージャーとして働いていた知見を根拠に算出しています。
※買取価格は業者により異なります。
切手の種類 | バラ(未使用) | バラ(使用済) |
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産業図案切手500円(機関車製造) | 5,000円〜20,000円 | 100円〜1,000円 |
産業図案切手100円(電気炉) | 5,000円〜25,000円 | 100円〜1,000円 |
産業図案切手30円(郵便配達) | 1,000円〜5,000円 | 100円〜500円 |
産業図案切手20円(植林) | 500円〜3,000円 | 10円〜300円 |
産業図案切手16円(穂高岳) | 100円〜1,000円 | 10円〜100円 |
産業図案切手15円(紡績女工) | 10円〜300円 | 10円〜100円 |
産業図案切手8円(炭鉱夫) | 10円〜300円 | 10円〜100円 |
産業図案切手6円(印刷女工) | 10円〜300円 | 10円〜100円 |
産業図案切手5円(茶摘み) | 10円〜300円 | 10円〜100円 |
産業図案切手5円(炭鉱夫) | 10円〜300円 | 10円〜100円 |
産業図案切手3円(捕鯨) | 10円〜300円 | 10円〜100円 |
産業図案切手2円(農婦) | 10円〜300円 | 10円〜100円 |
産業図案切手500円(機関車製造)
発行年数 | 1949年(昭和24年)9月26日 |
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額面 | 500円 |
買取相場(バラ:未使用) | 5,000円〜20,000円 |
買取相場(バラ:使用済) | 100円〜1,000円 |
産業図案切手500円(機関車製造)には、SL機関車を製造する人々の様子が描かれています。
終戦直後の日本では1か月の生活費が500円という家庭が多く、庶民が何枚も購入できる切手ではありませんでした。
そのため、産業図案切手の中では未使用の残存数が少ないプレミア切手の1つです。
切手の買取相場は未使用であれば5,000円~20,000円と高値で買取されます。
産業図案切手100円(電気炉)
発行年数 | 1949年(昭和24年)10月15日 |
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額面 | 100円 |
買取相場(バラ:未使用) | 5,000円〜25,000円 |
買取相場(バラ:使用済) | 100円〜1,000円 |
産業図案切手100円(電気炉)には、電気炉で働く人の様子が描かれています。
こちらも未使用品が少ないため希少価値がついています。
切手の買取相場は未使用品で5,000円~25,000円と高値で買取されます。
産業図案切手30円(郵便配達)
発行年数 | 1949年(昭和24年)5月10日 |
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額面 | 30円 |
買取相場(バラ:未使用) | 1,000円〜5,000円 |
買取相場(バラ:使用済) | 100円〜500円 |
産業図案切手30円(郵便配達)には、郵便配達員が描かれています。
1949年5月10日(昭和24年)に書留郵便用の切手として発行されました。
買取価格は未使用品で1,000円~5,000円と少し期待できる価格です。
産業図案切手20円(植林)
発行年数 | 1949年(昭和24年)5月10日 |
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額面 | 20円 |
買取相場(バラ:未使用) | 500円〜3,000円 |
買取相場(バラ:使用済) | 10円〜300円 |
産業図案切手20円(植林)は木を植える人々の様子が描かれています。
1949年5月10日(昭和24年)に速達郵便用の切手として発行されました。
買取価格は未使用500円~3,000円と少し期待できる価格です。
産業図案切手16円(穂高岳)
発行年数 | 1949年(昭和24年)1月15日 |
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額面 | 16円 |
買取相場(バラ:未使用) | 100円〜1,000円 |
買取相場(バラ:使用済) | 10円〜100円 |
産業図案切手16円(穂高岳)には、穂高岳という山が描かれています。
こちらは横長の大型切手で、外国宛ての普通郵便基本料金が改訂され16円となったため発行されました。
買取価格は100円~1,000円と少し期待できる価格です。
産業図案切手15円(紡績女工)
発行年数 | 1948年(昭和23年)10月16日 |
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額面 | 15円 |
買取相場(バラ:未使用) | 10円〜300円 |
買取相場(バラ:使用済) | 10円〜100円 |
産業図案切手15円(紡績女工)は、紡績女工が描かれています。
速達郵便用に発行され、1948年に長野県で開催された「われらの逓信文化展覧会」の記念小型シートにも使用されました。
とくに長野県は繊維産業が盛んな土地だったため記念小型シートに紡績女工の切手が選ばれました。
こちらの切手は流通量が多く、未使用品での買取料金は10円~300円です。
産業図案切手8円(炭鉱夫)
発行年数 | 1949年(昭和24年)6月1日 |
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額面 | 8円 |
買取相場(バラ:未使用) | 10円〜300円 |
買取相場(バラ:使用済) | 10円〜100円 |
産業図案切手8円(炭鉱夫)は、炭鉱で働く炭鉱夫が描かれています。炭鉱も戦後の日本を支える主力産業の1つで、石炭は重要なエネルギーでした。
1949年5月の郵便料金改定で、もとは5円切手として使用されていた炭鉱夫のデザインがそのまま8円切手に採用されました。
こちらの切手も流通量が多く、未使用品での買取価格は10円~300円です。
産業図案切手6円(印刷女工)
発行年数 | 1949年(昭和24年)11月25日 |
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額面 | 6円 |
買取相場(バラ:未使用) | 10円〜300円 |
買取相場(バラ:使用済) | 10円〜100円 |
産業図案切手6円(印刷女工)は、印刷物を運ぶ女工の姿が描かれています。
こちらの切手も流通量が多く、未使用品での買取価格は10円~100円です。
産業図案切手5円(茶摘み)
発行年数 | 1949年(昭和24年)11月15日 |
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額面 | 5円 |
買取相場(バラ:未使用) | 10円〜300円 |
買取相場(バラ:使用済) | 10円〜100円 |
産業図案切手6円(茶摘み)は、茶畑でお茶の葉を摘む女性たちの姿が描かれています。
この切手のデザインは、1949年5月の郵便料金改定のために採用されました。
こちらの切手も流通量が多く、未使用品での価格は10円~100円です。
産業図案切手5円(炭鉱夫)
発行年数 | 1948年(昭和23年)11月1日 |
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額面 | 5円 |
買取相場(バラ:未使用) | 10円〜300円 |
買取相場(バラ:使用済) | 10円〜100円 |
産業図案切手5円(炭鉱夫)は、つるはしを背負った炭鉱夫が描かれています。
1949年4月まで5円切手はこの炭鉱夫の切手でした。
その後、1949年5月に郵便料金の値上げとともにこのデザインは産業図案切手8円(炭鉱夫)にそのまま使用されることになりました。
そして、そのかわりに茶摘みのデザインが5円切手に採用されました。
こちらも流通量が多く、未使用品での買取価格は10円~100円となっています。
産業図案切手3円(捕鯨)
発行年数 | 1949年(昭和24年)5月20日 |
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額面 | 3円 |
買取相場(バラ:未使用) | 10円〜300円 |
買取相場(バラ:使用済) | 10円〜100円 |
産業図案切手3円(捕鯨)は、漁師が捕鯨銃を構えている様子が描かれています。
今でこそ規制が厳しくなりましたが、戦後は捕鯨が盛んにおこなわれていました。
クジラ肉は貴重なたんぱく源で学校給食のメニューにも取り入れられました。
こちらも流通量が多く、未使用品での買取価格は10円~100円となっています。
産業図案切手2円(農婦)
発行年数 | 1948年(昭和23年)11月20日 |
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額面 | 2円 |
買取相場(バラ:未使用) | 10円〜300円 |
買取相場(バラ:使用済) | 10円〜100円 |
産業図案切手2円(農婦)は、くわを担ぎ籠を背負った農婦が描かれています。
こちらも流通量が多く、未使用品での買取価格は10円~100円となっています。
まとめ
今回は産業図案切手についてご紹介しました。とくに未使用品のすかしなし産業図案切手500円(機関車製造)と産業図案切手100円(電気炉)はプレミア価値があります。未使用品のなかでも汚れがない美品だとより高値がつきます。
ご自宅に眠っている産業図案切手を見つけたらぜひ参考にしてみてください。